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用途変更にかかる費用と業務の流れ

更新日:2021年3月4日



用途変更申請


2019年に建築基準法が一部改正になり、今まで100㎡以上で必要だった用途変更が200㎡以上に緩和になりました。


これまでよりも空いているテナントを有効に活用できるように法律が変更になっています。


建物には建築当初、どのような用途であるかという記載があります。


例えば、飲食店・物品販売店舗・福祉施設等々そこに入る業態の用途を申請書に記載し、申請してあります。


その用途から別の用途に変える場合に必要になるのが用途変更という確認申請です。


用途変更と聞くと、用途を変更するだけなので、書面上の名義変更のような手続きで完結すると思われている方が多くいらっしゃいます。


しかし、実際には新築よりもはるかにハードルが高く、申請業務にも大変時間のかかる作業です。




用途変更は費用がかかる?


結論から言うと費用は高額になりがちです。


ハードルが低く、そこまで費用がかからないような案件もありますが、当社で受けている案件は平均すると比較的高額と言わざる負えません。


既存の用途や形状、変更する用途や形状によって作業がそれぞれ異なるので一概には言えませんが


費用の概算はこちら


費用がかからない案件でも50万円程度~

物件が大きかったり、作業量が多かったり、難しい案件になると150万円を超えてしまう場合もあります。


用途変更の費用算出には様々な条件が関わってきます。


では、費用はどのような条件で変わってくるのか見ていきましょう。


比較的費用がかからない条件

・テナントが1階にある(費用:1F<2F<B1F<3F以上)

・一度に大勢の人が集まる用途ではない

(集会場や劇場などではない)

・火を使う用途ではない

(飲食店などではない)

・自力で避難するのが困難な方が使用する用途ではない

(福祉施設などではない)

・ビル内にキャバクラやクラブ等が入っていない

(後からこのような用途になっている場合、法順守されてないことが多い)


逆に、1Fにある物品販売の店舗などへ用途変更をする場合には、避難の面から見ても1階であれば比較的容易に設計でき、短時間に大勢の人が集まったり、火を使う用途ではないので、求められる基準も低く、比較的費用が抑えられます


逆に、B1Fや3F以上のテナントに福祉施設が入るような用途変更の場合は避難の面でも入居者の自力避難が難しいなどハードルが高く、福祉施設の用途に求められる消防・建築的な設備や性能も高くなってきますので、費用を抑えるの難しくなります。


用途変更は、その名前から名義変更のような簡単な書面上のみでの手続きの作業だと思われている方が多く、お見積りを出させて頂くと驚かれる方が非常に多いのが現実です。


では、なぜ用途変更申請は高額になってしまうのか。



それは申請業務の難しさにあります。


まず、書面上だけではなく図面の提出はもちろん、それに対しての要求設備、要求性能、法的な審査があります。


そして、審査、設計をする上での特にハードルを上げているのがこの2点です。


・申請対象が用途変更部分だけではない


・既存ありきなので、自由が効かない


この2点は用途変更業務が高額になる大きな要因です。








申請業務をするにあたり、まず既存建築物の検査済証、確認通知書、設計図書と用途変更部分がどのような形状、業態、計画になるのかという計画の図面が必要になります。


検査済証がない場合は、作業開始しても最終的に許可にならない可能性の方が高いので、当社では用途変更のご依頼はお断りさせていただいております。


変更部分がどのように変わるかという申請ですが、申請自体は建物全体として申請することになります。


特に消防は消防検査等で現状の不具合を把握している場合が多く、建物の用途変更部分以外に関しても用途変更申請時に、事前に把握している不具合や適法外箇所の改善を求められることがあります。


まず、この既存建築物全体の確認 + 新規計画の確認作業が難易度を上げる原因になります。


雑居ビルなどにありがちですが、用途変更部分以外の階で申請業務をせずに勝手に工事が行われ、すでに建築当初と様子が変わっていて避難上問題のある形状になっていたりする場合にはこれも審査対象となり、申請する場所と関係のない階の審査や確認で、改善が求められたり、作図が必要になったり、最悪の場合には許可が下りない事もあり得ます。


用途変更申請が必要になる物件は、テナントビル等の比較的大きな建物が多く、消防審査も経由するので、当然消防法も満足し、消防審査も通過しなければなりません。


1階以外のテナントに関しては避難経路の確保など、火災や災害が起きた時の避難も想定しなければならないので、もともと想定されていない場合にはこれも調整する必要があります。


建築基準法と消防法は用途によって要求される設備などが変わってきます。


元々その用途に必要なかった形状に変更しなければならなかったり、新しい用途に要求される設備や性能を新たに付加する必要があります。


そして、この作業は既存建築物という既に建ってしまっているものが大きな障害になることが多々あります。


ここの調整に伴う部分で作業量が増えてしまうことがあります。


今回の用途に合った設備や形状、内部の仕上げになっているか

例えば、用途によってはスプリンクラーがついているか、避難に必要な寸法はクリア出来ているか、避難上支障がないか(規定された寸法通りになっているか)屋内消火設備や、誘導灯、自動火災報知設備、避難器具が新たに必要になる場合もあります。


新しく建てる建築物に必要設備を入れるのはそこまで難しい話ではありませんが、福祉施設などへの用途変更の場合にはスプリンクラーの設置が義務になる場合が多く、スプリンクラー設備を既存建築物に導入するのは、ハードルが高い場合が多いのが現状です。


後から必要設備を導入する場合、工事自体の費用が高額になるのはもちろんですが、ポンプなどの設備が必要になった場合、設置する場所があるか、配管を通すスペースがあるかなど、用途変更ならではの難しさがあります。


既存建築物の現場調査をする回数や図面上の検討事項も多く、申請する前にも役所・審査機関・消防と何度も現状と新規の計画の確認をして、要求されているものを満足しているかを確認した上で申請をします。


このような流れになるので、何もないところから自由に設計することができる新築の設計費用に比べて、面積が小さい用途変更の場合でも、はるかに高額になってしまうケースが多いのです。



ここまで用途変更のハードルが高さについて書いてきましたが、建築基準法や消防法は大きなくくりで言えば人命を守るために規定されています。


性能の高い消防設備やたくさんの消防・避難設備が要求されている用途というのは


・自力で避難するのが難しい方がいる用途、すぐに全員避難が難しい用途

(福祉施設、劇場、映画館など)

・大きな火災になりやすいような用途

(自動車修理工場等、可燃物の貯蔵や火が出やすい作業が多い用途)

など、火災や地震時などで大きな被害が出やすい用途です。


用途に合わせて、逃げ遅れて人命が失われるような事が出来る限りないように建築的な面と消防的な面の両方から、なるべく火を出さないように、出た時には逃げられるように、さらには適切な消火活動や避難ができるようにと法律が定められています。


用途変更が必要なのに変更せずにやってしまうと、違法になり危険な状態で営業している状態になってしまいますので、改善まで行政から営業停止等の措置がとられることも珍しくありません。


この場合、後から改善する方が費用負担も当然増えます。



無駄な費用がかかってしまわないよう、テナントに入る際には必ず確認して、わからない場合にはまずは、用途変更の経験がある建築士のいる設計事務所へ相談することをお勧めします。