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  • shota

建築士から見る物件購入時の注意点(土地編)

更新日:2020年12月3日



一般の人が土地を検討する時に気を付けるべき事を建築士の視点から専門的になりすぎない程度に考察していきたいと思います。

インターネットで気軽に色々な事が調べられてしまう今は土地の購入を検討する時もお目当ての地域の土地が簡単に検索する事ができます。

しかし、実は土地にはその土地ならではの色々な制限や約束事、法的な問題があります。

土地自体が最初から抱えている問題や、実際に住宅を建築しようとする時に発生する問題を事前に押さえ、購入後に思わぬ出費が発生したり、建築するのに非常に苦労したりと「失敗した・・・」と、いうことがないようにある程度の知識を入れてから土地を検索することをお勧めします。


まず、土地を購入する時に一番最初に気を付けることとして


周囲の環境

・自分のライフスタイルにあっているか

・騒音の原因になるような建物や道路がないか


立地・アクセス

・駅までの距離

・高速のインターまでの距離(車が中心の生活の場合)

・南のむきはどっちか(日当たりを重視する場合)



この2つはまず押さえる必要があります。


自分の性格やライフスタイルに合わせて周囲の環境を選ぶ事を重視します。

不動産は大きな買い物です。自分が何を重視するかということをもう一度よく考えて土地を検討していきましょう。

周囲の音が気になる人であれば、一般的に好立地と言われているアクセスのいい環境は夜間まで音がうるさい場合がありますし、夜しか家にいないようなライフスタイルであれば、そこまで日当たりを重視せずに選んでもいいと思います。

自分が生まれ育った地元の土地ではない場合には、検討段階で何度も足を運び色々な条件の元で同じ土地を見る事をお勧めします。

朝、昼、夜と時間を変えて見ることで日当たりや、時間帯によって周囲の音や人の流れ、周辺のお店や町の雰囲気も変わってきます。

ある時間になると一斉に高校生が学校に向かう通学ルートになっていたり・・・

昼は安全だけど、夜になるとキャッチのお兄さんが道路に出てきていたり・・・

夕方の時間帯だけムクドリが大量に飛来したり・・・

時間帯が変わったり、ある時間帯だけ特定の条件が発生するような場合もあります。


また、雨や風の強い日に敢えて見に行くと、晴れている日とはまた違う一面が見えてきます。

水はけが異常に悪かったり、雨が降ると隣地から水が流れてきてしまうような土地もあるので、ここも注意が必要です。

高台の土地は人気がありますが、毎日そこまで登っていく必要があるので、歩くのが苦じゃない人にはいいと思いますが、しんどい人にはお勧めできません。

ただ、高台は窓からの見晴らしがいいなどの景観の面でのメリットや津波が来た場合には好立地になります。


検索する時点で周囲の環境・立地という、この2つは当然視野に入っている事だとは思いますが、実際に昔からよく知っている土地じゃない場所を買う時には、色々な事を想定しながら、より念入りな事前調査が必要です。

一般的に見て周辺環境がよくないと言われる場所でも、その人にとってはいい環境、好立地と言える場合も多々あります。

自分にとってどういう環境があっているのか、どういう土地が好立地と言えるのかを考えて検索する場所を絞っていきましょう。




次にその土地が問題を抱えていないかを見る必要があります。

特に、周辺の土地相場と比べて明らかに安い土地の場合は、購入後に思わぬ出費が発生するケースが多く見受けられます。

その問題にかかる分を見越して安く設定されているような場合があります。

安い土地の場合には特に問題がないかを事前に確認しておきましょう。


建築することができる(家を建てられる)土地か

建築するにあたりどのような条件があるのか

土地が持っている性質や問題を把握するために、以下のポイントをチェックします。


・用途地域は何なのか

・防火地域・準防火地域になっているか

・地目は何になっているか

・道路に2m以上接しているか

・接している道路の幅が4m以上あるか

・がけ地(高低差)があるか(崖条例に該当しているか)

・既存のブロックがある場合

・容積率・建蔽率はどのぐらいか

・境界線がはっきりしているか

・抵当権が残っていないか

・いい地盤であるか


用途地域について

一部を除くほとんど(計画区域内)の土地には用途地域というものが設定されています。

住宅を建てる場合には工業専用地域を除き、基本的には建てる事ができますが、どの地域に属しているかによって、周辺の様子が異なってきます。


用途地域の種別

・第一種低層住居専用地域

・第二種低層住居専用地域

・第一種中高層住居専用地域

・第二種中高層住居専用地域

・第一種住居地域

・第二種住居地域

・準住居地域

・田園住居地域

・近隣商業地域

・商業地域

・準工業地域

・工業地域

・工業専用地域


実に13種類もあります。

まず、2F建て以下の一般的な住宅を建てることを考えている場合には低層住居専用地域とついている場所を選べば周りに3階建て以上の高い建物が建つようなことはありません。

名前の通り、低層の住宅地を想定していて、いわゆる一般的な住宅地になります。

次に、中高層住居専用地域になると基本的には住宅地という位置づけですが、3階を超えるアパートやスーパーなどの店舗も建てる事が出来る地域になります。

3階建ての住宅を建てたいと思っている人は第一種・第二種中高層住居専用地域に絞って探してみてください。

この後に第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域と続きますが、この順番で規制が緩くなり色々な建物が建てられるようになってきます。

事務所やホテル、カラオケボックスや小規模の映画館など少し賑やかな街並みになっている、もしくは、現在は何もないところであれば住宅地よりは若干賑やかな街並みになることが予想される場所です。

田園住居地域は農業関連の施設を建てられる場所なので、比較的農業系の建物が集まるのどかな地域になります。

商業系(近隣商業・商業)地域はほとんどの商業施設を建てる事が出来る地域になります。

イメージ的には都心部の賑やかな場所や、駅前の商店街や繁華街のようなイメージの場所になります。

工業系は工業専用地域以外にも住宅を建てる事は出来ますが、基本的には周りに工場が建つ地域なので、住環境としてはあまりお勧めできる地域ではありません。

工場の近くなので音や匂い、煙など生活する上ではトラブルになりやすいと言えます。

道を挟んだ向こう側が工業系などの時にも、製造過程で使う薬品の匂いが風に乗ってきてしまう等のトラブルがあるので注意が必要です。

工場勤務で工場から徒歩〇分などの条件を求めるような人にとっては好立地な土地になります。

ざっくり説明しましたが、住宅を考えているのであれば、住居系で自分に合った周辺環境に当てはまる用途地域を選んでいきましょう。


防火・準防火地域について

防火地域・準防火地域は火災が起こった時に一気に燃え広がることが防ぐために設定されている地域になります。

繁華街や都心部などは防火地域にしていされている事がほとんどで、住宅地でも準防火地域に指定されているような場所も見受けられます。

このどちらかにかかっている場合には、建物を建てる際に燃えにくいような材料や、火を外に出さない、外からの火に耐えられるなどの構造にする必要があり、指定がない地域に比べると建築費が増える傾向にあるので、お探しの土地が防火地域の指定があるかないかは事前に押さえておきましょう。


地目は何になっているか

安い土地の場合には地目が「畑、山林、田、雑種地」などになっているケースがあります。

建築が不可な場所ではありませんが、農地転用などの申請が必要な場合もあり、思わぬ出費と申請にかかる時間を取られてしまうケースがあります。

住宅を建てる予定であれば地目は「宅地」にな